天皇と上皇の違いとは?実は法皇という称号も存在している。

今回は「天皇と上皇の違い」ということで、天皇にまつわる雑学を紹介します。
歴史上には数多くの天皇が存在していますが、名前が同じなのに「上皇」となったりなんだかややこしいですよね。

2019年3月現在の今上天皇である明仁様についても、生前退位をすることによって「上皇」になられる予定となっています。
そもそも「天皇」や「上皇」にはどのような違いがあり、更に「法皇」という称号も存在していることをご存じでしょうか?

天皇と上皇の違い

天皇上皇違い
それではさっそく天皇と上皇の違いについて解説していきます。

天皇とは?

まずは「天皇」についてですが、学校の授業では「日本国の象徴」と習いましたよね。
しかし、昔の天皇は現在と違って政治の実権を握っており、国の頂点でした。

初代の天皇の「神武天皇」から始まり、2019年現在の今上天皇である明仁様で125代目となります。
「天皇」という言葉自体は初代の頃から使われていた訳ではなく、最初に「天皇」という言葉が登場したのは7世紀後半になってからのことでした。

そして、40代目の天皇である「天武天皇」の時代に、初めて天皇という言葉が使われたんですね。
そのため、それまでの天皇は「大王(おおきみ)」と呼ばれていたのです。

天皇家は我々のように戸籍を持っていませんが、その代わりに「皇統譜(こうとうふ)」と呼ばれる家系図が存在しています。
天皇家の祖は皇祖神と呼ばれる神様だと考えられていることから、皇統譜を遡ると皇祖神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)の名前が記されているそうです。

また、2019年3月現在の天皇陛下である明仁様は「今上天皇」と呼ばれていますが、今上天皇は「現在の天皇」という意味の言葉です。
「昭和天皇」や「大正天皇」などの呼び方は、天皇陛下が崩御された後に贈られる称号であることから、明仁様を平成天皇と呼ぶのは失礼にあたります。

上皇とは?

続いて「上皇」についてですが、上皇とは「太上天皇(だじょうてんのう)」の略称です。
歴史の授業でも習ったと思いますが、上皇は天皇の位を後継者に譲った後の天皇の称号であり、明仁様も生前退位をされた後は上皇となられます。

また、太上天皇は「」と呼ばれることもあり、平安時代にあった「院生」についてははこの呼び方が由来となっています。
平安時代以降は天皇が亡くなるという自体を避けるために、当代の天皇が病気に掛かるとすぐに位を譲って上皇となることが多かったそうです。

そして、上皇となってすぐに亡くなってしまうことも多かったため、次々に天皇が変わっていく時代があったんですね。
例えば、68代目の一条天皇については即位後にすぐに崩御してしまったとされています。

天皇が亡くなったと公表する訳にもいかなかったため、一条天皇の位を一条上皇としてから崩御したことを公表することもあったそうです。
この時代が代わる代わる上皇が誕生していたこともあって、歴代の上皇はなんと59人も存在しています。

1301年からの3年間は特に多くの上皇が誕生し、5人の上皇が存在していたこともありました。
ちなみに、天皇が上皇となられても国民の象徴であることに変わりはありません。

法皇とは?

最後にあまり知られていない「法皇」について解説します。
法皇は「太上法皇」の略称であり、出家した上皇に贈られる称号のことです。

上皇と身分が変わる訳ではありませんが、出家して仏門に入るということから剃髪をします。
そのため、歴代の天皇の肖像画で頭を丸めている天皇については、上皇になった後に出家して法皇になったということですね。

有名な法皇としては、白河法皇、鳥羽法皇、後白河法皇などの人物が挙げられます。
意外と上皇となってから出家している人は多く、歴代では35人の上皇が出家して法皇となりました。

以上が「天皇と上皇と法皇の違い」についてでした。


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まとめ

天皇は現在では日本国民の象徴となっているが、元々は「大君」と呼ばれる政治の実権を握った日本一の権力者のことだった。
上皇とは太上天皇の略称であり、天皇を退位して後継者に位を譲った後に贈られる称号である。
平安時代には上皇が政治の実権を握る「院政」というものがあった時代もあり、退位が繰り返された結果上皇が5人存在している時代もあった。
法皇は出家した上皇に贈られる称号であり、出家をして仏門に入るということから剃髪をする。