今回は「案山子の由来・語源」ということで、案山子にまつわる雑学を紹介します。
現在でも田舎道を走っていると、カラスなどの野生動物から田畑を守るために、案山子が立てられているのを見かけますよね。
普段から何気なく目にしている「案山子」ですが、そもそもなぜ田畑を守る人形が「案山子」と呼ばれるようになったのかご存じでしょうか。
「かかし」という言葉に「案山子」という漢字が当てられた理由もあわせて解説していきます。
案山子は嗅がしと呼ばれていた
まずは「案山子(かかし)」というものが誕生した由来について解説していきます。
「案山子」について辞書で調べるとわかりますが、そもそも昔の案山子は現在のような人形ではありませんでした。
昔の案山子は「嗅がし」と呼ばれており、獣の肉や魚の頭、髪の毛などを焼いたものを串に刺して立てていたんですね。
そして、その悪臭によって近づいてくる鳥や獣などの害獣から田畑を守っていたのです。
その後、時代が進むにつれて「嗅がし(かがし)」の濁点が省略されて読まれるようになっていきました。
そのため、いつしか「嗅がし」は「かかし」と読まれるようになったのです。
案山子の由来・語源
続いて、かかしに「案山子」という漢字が当てられた由来と語源について解説していきます。
漢字で「案山子」となった由来は諸説あり「低い山に立てられた」「低い山は劣っていると考えられた」「中国の禅書が語源」とする説があります。
低い山に立てられた説
一つ目は案山子が低い山に立てられることが多かったとする説です。
「案山」には低くて平らな山という意味があり、田畑はこのような場所に作られることが多かったそうです。
そして、「子」には人形という意味があることから、案山に立てられた人形ということで「案山子」となったんですね。
低い山は劣っていると考えられた説
役に立たない人のことを「かかし」と呼ぶのは昔からだったそうです。
そして、高い山が優れているのに対して、低い山である案山が劣っているということから、「案山子」という漢字が当てられたとされる説です。
中国の禅書を語源とする説
また、中国の禅書である「景得伝灯録」が語源とする説もあります。
「景得伝灯録」には「面前案山子也不会」という一説があり、これを直訳すると「目の前にいる案山子には会えない」という意味になります。
「案山」には先ほど解説したように、「低い山」という意味があり、子には「人形」という意味があります。
つまり、山の中にいて喋ることがない人形のような人を中国語で「案山子」と呼んでいたということですね。
しかし、日本人が「案山子」のことを日本の「かかし」のことだろうと勘違いしてことから、かかしには「案山子」という漢字が当てられたとされています。
このように、現状では案山子の語源と由来は諸説ある状態ですが、もしかすると、本当の語源について判明する日が来るかもしれませんね。
以上が「案山子の由来・語源」についてでした。
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まとめ
かかしは元々は「嗅がし」と呼ばれており、魚の頭や髪の毛を焼いたものを串に指し、臭いで害獣を追い払うものだった。
「嗅がし」だったものが、年々変化していき、濁音がとれて「かかし」と呼ばれるようになった。
「案山子」という漢字が当てられたのは、「案山」には「低い山」という意味があり、低い山に田畑があることから「案山子」となったという説がある。
また、中国の禅書の一説に「面前案山子也不会」という句があり、山にいて物を言わない人形のような人のことを「案山子」と呼んだことが語源となったという説がある。