花見の由来・意味は?実は1000年以上の歴史を持つ伝統文化だった。

今回は「花見の由来や意味」ということで、花見にまつわる雑学を紹介します。
肌寒かった冬を過ぎると、いよいよ春がやってきて気温も上がり、暖かな日差しに思わず心が躍ってしまいませんか?

暖かくなると花が咲き始めますが、春の花にまつわるメインイベントといえば「花見」ですよね。
家族、友人、あるいは会社の同僚などと、美味しい料理を食べながら桜を楽しむイベントですが、そもそも「花見」っていつから始まった行事なのかご存じでしょうか。

花見の由来や意味

花見由来
それではさっそく「花見の由来・意味」について解説していきます。
実は花見のルーツを辿っていくと、その由来は1000年以上前に、奈良時代のことから存在していたことがわかります。

花見の由来

日本の花見は奈良時代に貴族の間で行われていた行事が由来だとされています。
奈良時代には中国との貿易が盛んだったことから、その時期に梅も日本へと伝わりました。

そして、奈良時代の貴族の間では梅を鑑賞する行事が行われていたそうで、この行事が由来で花見が誕生したんですね。
元々は桜ではなく梅の花を観賞する行事でしたが、平安時代になると少しずつ桜を鑑賞する行事へと変化していきました。

実際に、奈良時代に作成された万葉集には梅についての歌がよく詠まれていますが、平安時代に作成された古今和歌集では桜についての歌が詠まれています。
また、宴会のように花見を始めたのは、平安時代の初期に開かれた「花宴の節(せち)」が由来だったとされています。

嵯峨天皇によって「花宴の節(せち)」が開かれたのは3月28日だったそうで、ちょうど桜の時期にあたり、この日の宴のメインを飾ったのも桜だったとされているんですね。
その後、桜の花見が貴族の間で流行するようになり、831年には天皇主催の定例行事として取り入れられるようになりました。

日本人の桜好きが1000年以上も前から始まっていたと考えると、感慨深いものがありますよね。

花見が庶民に普及するまで

花見が庶民へと普及するまでにはかなりの時間がかかりました。
鎌倉時代や室町時代になって武士が力を持つようになった時代には、まずは武士階級へと花見の風習が広まりました。

徒然草にも花見の宴の様子が登場することから、鎌倉末期から室町初期の頃には地方の武士階級が花見をしていたことがわかります。
また、この時代以降にも豊臣秀吉が大規模な花見の宴を開催したという記録も残されているようです。

ようやく花見が庶民の風習として普及するようになったのは江戸時代になってからでした。
この頃には桜の品種改良も行われるようになり、様々な品種の桜が街中でも見られるようになったそうです。

江戸幕府によっても庶民が花見をすることが推奨されるようになり、花見客がお金を使うことから、農民たちの収入アップにもつながるようになりました。
江戸時代に誕生した桜は、明治維新による建物の取り壊しと共に焼失してしまったものも多いですが、花見という行事自体は残って現代でも楽しまれています。

花見の意味

花見由来
続いて、花見に込められた意味について解説します。
現代ではすっかりと桜の花を見て美味しい料理を楽しむイベントとなった花見ですが、元々は神事としての意味合いが強い行事だったのです。

桜には「サ神」と呼ばれる豊作を司る神が宿っており、サ神様が座る場所という意味の「クラ」から、「サクラ」と名付けられました。
そして、奈良時代に鑑賞されていた「梅」は、これから気温が上がって暖かくなるという時期に鼻を咲かせることから、田植えの目安とされていました。

その後は、桜や梅が咲く時期にはサ神様も天から降りてきていると考えられるようになり、秋の豊作を願って食べ物を供えるようになったんですね。
そして、お供えが終わった食べ物をみんなで分け合って食べることにより、サ神様の力を身体に宿し、汚れを祓おうとしていたのです。

このような神事としての意味合いが強かった花見でしたが、現代では花見をしながら食べ物を食べるという部分だけが残ったんですね。
当時はもちろん天気予報も無かったことから、桜や梅の花の開花が農民にとって季節の移り変わりを知る重要な指標だったことが予測されます。

世界でも花見が行われている

花見由来
実は花見が行われているのは日本だけではありません。
例えば、アメリカのワシントンにあるポトマック湖畔では、毎年のように全米桜祭りが開催されています。

植えられている桜は1912年に東京市から贈られたものであり、桜の花を見ながらパレードやステージショーをを楽しむイベントとなっています。
また、フィンランドのヘルシンキにも2007年にサクラ公園が誕生し、花見や日本との文化交流が行われています。

花見が独自の進化を遂げている国もあり、ブラジルでは桜の枝に短冊をくくりつけて楽しむ風習があります。
ブラジルで桜が開花するのが日本の七夕と同時期であることから、ブラジルで開催されるさくら祭りは七夕のように楽しまれているんですね。

以上が「花見の由来や意味」についてでした。


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まとめ

花見の由来は、奈良時代に中国から伝来した梅の花を見る貴族の行事だったとされている。
平安時代になると桜の花を見る行事となり、鎌倉時代・室町時代には武士階級でも楽しまれるようになり、江戸時代には庶民にも普及した。
元々は神様へと豊作を願う意味合いで行われていた神事だった。
世界ではアメリカ、フィンランド、ブラジルなどで花見のイベントが開催されている。