重要文化財と国宝の違いは”価値”にある、それぞれの条件とは?

今回は「重要文化財と国宝の違い」ということで、文化財にまつわる雑学を紹介します。
テレビなどのメディアで「重要文化財」や「国宝」という言葉を耳にする機会がありますよね。

しかし、これらの日本語は難しく、重要文化財と国宝では一体なにが違うのかを理解していない人がほとんどですよね。
実はその違いは簡単で、重要文化財と国宝の違いは”価値”にあるのです。

重要文化財と国宝の違いとは?

重要文化財国宝違い
それではさっそく重要文化財と国宝の違いについて解説していきます。
冒頭でも解説しましたが、重要文化財と国宝の違いは”価値”にあります。

そもそも重要文化財と国宝は別物ではなく、重要文化財の中でも特に価値が高いもののことを「国宝」と呼ぶのです。
そのため、2019年4月現在で重要文化財は13,232件が登録されているのに対して、国宝は1,116件しか登録されていません。

重要文化財とは?

重要文化財国宝違い
続いて「重要文化財」について掘り下げて解説していきます。
まずは「文化財」についてですが、文化財には様々な分類が存在します。

・有形文化財
・無形文化財
・民俗文化財
・記念物(史跡、名勝、天然記念物)
・文化的景観
・伝統的建造物群

「重要文化財」はこれらの分類の中でも「有形文化財」にカテゴライズされており、特に歴史的・芸術的価値の高いものを指します。
そのため、演劇や音楽などの無形文化財については重要文化財には分類されません。

いつから保護されるようになった?

日本では、法律によって正式に文化財が保護されるようになったのは明治時代になってからでした。
最初に制定された文化財に関する法律は、明治4年に布告された「古器旧物保存方」であり、明治30年には「古社寺保存法」などが布告されました。

現在の「文化財保護法」が制定されたのは戦後のことであり、法隆寺金堂の火災をきっかけとして昭和25年に制定されました。
ちなみに、「文化財保護法」が施行されるまでの日本では文化財や重要文化財のことを「宝物」と呼んでいたそうです。

重要文化財の分類は様々

文化財にも様々な分類があったように、重要文化財にも細かな分類があります。
2019年4月現在では以下ように分類されており、登録件数は合計で13,232件となっています。

・絵画 2,026
・彫刻 2,711
・工芸品 2,464
・書籍、典籍 1,913
・古文書 768
・考古資料 640
・歴史資料 213
・建造物 10,735

合計 13,232

重要文化財に登録されたものはどうなる?

重要文化財に登録するためには国の認可が必要であり、相応の手間や時間が掛かります。
そして、国に重要文化財として認められると、今度は可能な範囲内で公開する義務や適切に管理する義務が発生します。

手間や時間をかけて重要文化財として認められても、義務ばかりが発生して特に何の恩恵も感じられないかもしれません。
しかし、重要文化財を保護するための助成金が受けられたり、修繕や保存に掛かる補助金が出るなどのメリットも存在します。

それまで、貴重品と分かっていても物品の保存にお金が掛かっていたという人にとってはありがたい制度ですよね。
その代わり、一度でも認められれば補助金を貰い続けられるということではなく、定期的に国へと届け出を提出する必要があります。

国宝とは?

重要文化財国宝違い
続いて「国宝」について解説していきます。
「国宝」は先ほども解説しましたが、重要文化財の中でもより歴史的・芸術的に価値が高い物のことを指します。

当然ですが、重要文化財に比べて「国宝」として認められるための基準は厳しいものとなっています。
例えば、金閣寺など一度でも焼失してしまい、復元されたものについては「国宝」として認められないことになっているそうです。

また「人間国宝」という言葉もありますが、これは国が定めている「国宝」とは異なります。
人間国宝は無形文化財である芸能や工芸に関する技術を保持している人の「通称」であるたけで、厳密には「国宝」ではないんですね。

国内にどれぐらいの国宝がある?

それでは2019年4月現在で国に「国宝」と認められた重要文化財はいくつあるのでしょうか?
重要文化財が1万件以上登録されていたのに対して、国宝については1,116件しか登録されていません。

・絵画 161
・彫刻 136
・工芸品 253
・書籍、典籍 228
・古文書 62
・考古資料 47
・歴史資料 3
・建造物 226

合計 1,116

国宝は個人でも所有することが出来る

実は重要文化財や国宝については個人でも所有することが出来ます。
しかし、個人の技術では国宝を経年劣化させずに維持・管理することは難しいことから、現実的には難しいようです。

以上が「重要文化財と国宝の違い」についてでした。


注目記事


他にも、こんな雑学がお勧めです。
タコの性別を簡単に見分ける方法、実は吸盤を見るだけ。
お好み焼きの名前の由来は?モダン焼きや広島風との違いも解説。
「ムース」「ババロア」「パンナコッタ」「プリン」の違いを解説!

まとめ

重要文化財は文化財の中でも「有形文化財」に分類され、、特に歴史的・芸術的に価値の高いものを指す。
国宝は重要文化財の中でもより一層歴史的・芸術的に高いものを指す。
2019年4月現在では重要文化財は13,232件登録されており、国宝は1,116件登録されている。
個人でも重要文化財や国宝を所持することは可能だが、維持・保存の観点から現実的には難しい。