今回は「牛乳のペットボトルを見かけない理由」ということで、牛乳にまつわる雑学を紹介します。
実はスーパーやコンビニで売られていないというだけで、ペットボトル入りの牛乳を製造することは出来るのです。
それでは、なぜペットボトル入りの牛乳を作らないのかが気になりますよね。
理由はとても単純なもので、牛乳のペットボトルを生産するのに「コストが掛かりすぎるから」なのです。
牛乳のペットボトルを見かけない理由
ペットボトルは持ち運びに便利ですし、今やコンビニなどで売られている飲料のほとんどがペットボトルですよね。
しかし、牛乳はペットボトルで販売されていないことから、持ち運んでいる人を見たことがないはず。
ミルクの入ったコーヒー飲料などはペットボトルで販売できるのに、牛乳だけ販売されないのはなんだか不思議ですよね。
実は少し前まではペットボトルで牛乳を販売することを、国で禁止していたのです。
昔は安全面から許可されていなかった
1951年に国から出された省令で、牛乳を販売する際には紙パック、もしくは瓶ではなければいけないという決まりが出来ました。
これは衛生上の理由からで、牛乳は他の飲み物と比べても雑菌が繁殖しやすいため、特に食中毒が起こりやすい飲み物だからなんですね。
ペットボトルの用途としては、鞄などに入れて持ち歩き、何度も口をつけて飲むことが想定されます。
その時、一度でも口をつけてしまうと、口から雑菌が牛乳へと入り込み、持ち運んでいる間に急激に雑菌が増殖してしまいます。
そのため、一度で飲み切ることを想定した瓶やコップに注いで飲むことを想定した紙パックでしか、販売が許可されていなかったのです。
確かに、衛生面や安全面を考えると、特に夏場は食中毒が増えやすいため、禁止せざるを得ないのは理解できますよね。
ペットボトル入り牛乳の販売への努力
しかし、牛乳の消費量や生産量は年々減少していく一方で、歯止めが効かない状態となっていました。
そこで考えられたのが「ペットボトル入りの牛乳」だったんですね。
他の飲料と一緒にペットボトル入りの牛乳がスーパーやコンビニで並ぶようになれば、また消費者が牛乳へと戻ってくると考えたのです。
その後、業界団体は牛乳の消費拡大を目的として、牛乳の販売規制の緩和を国へと求めました。
その結果、努力が実って2007年には規制が緩和され、ペットボトル入りの牛乳の販売が認められたのです。
これで牛乳から離れた消費者がまた牛乳に戻ってくると業界は大喜びでしたが、そこまで甘くはありませんでした。
コストも掛かるしニーズも無い
その後、数年たってもペットボトル入りの牛乳が販売される気配はありませんでした。
消費拡大のために、どの牛乳メーカーも我先にと販売を開始すると思いきや、あまりの生産コストの高さに足踏みしてしまったのです。
まずはじめに、ペットボトルに牛乳を注ぐ機械や工場を作るために、初期費用として数十億円は掛かります。
そして、牛乳用のペットボトル製造用のマシンを導入するためには更に十億円ほどの費用が掛かります。
その時点での牛乳市場の大きさからいって、たとえ牛乳入りペットボトルを販売出来たとしても、これでは採算が合わなかったんですね。
更に言えば、ペットボトル入りの牛乳を熱望する人も少なく、ニーズが多い商品でもないことから、結局はどの企業もペットボトル入りの牛乳の販売を始めなかったのでした。
以上が「牛乳のペットボトルを見かけない理由」についてでした。
注目記事
他にも、こんな雑学がお勧めです。
お客様は神様の意味は誤解されている、本当の由来を解説。
焼き鳥は串から外す?実は外さない方が美味しいって知ってた!?
むらさき?あがり?知って得するお寿司用語と意味!
まとめ
ペットボトル入りの牛乳の販売は1951年に国から出された省令によって禁止されていた。
牛乳は他の飲料よりも雑菌が繁殖しやすく、衛生的な理由からペットボトルに入れて販売することに向いていなかったためである。
その後、牛乳の消費量が落ち込んだことから、牛乳メーカーの訴えによってペットボトル入りの牛乳の販売が認められるようになった。
しかし、導入コストや生産コストと消費者のニーズがマッチせずに採算が合わないことから、ペットボトル入りの牛乳が販売されることはなかった。