線路に砂利を敷く理由を解説!実はクッションの意味があった。

今回は「線路に砂利を敷く理由」ということで、線路にまつわる雑学を紹介します。
普段から電車を利用していてあまり意識することはありませんが、電車が走る線路には大き目の砂利が敷き詰められていますよね。

車の走る道路や飛行機の走る滑走路はコンクリートで滑らかに舗装されているのに、なぜ電車の走る線路だけは砂利なのでしょうか?
実は線路に敷かれている砂利については、クッションとしての意味を持っているそうなんです。

線路に砂利を敷く理由

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それではさっそく「線路に砂利を敷く理由」について解説していきます。
冒頭でも解説したように、線路に敷かれている砂利は「バラスト」と呼ばれており、クッションとしての意味を持っています。

砂利は”バラスト”という名前

線路に敷かれた「バラスト」ですが、砂利のような硬いものが本当にクッションとなるのか疑問ですよね。
それでは実際に電車が通過した時の線路の様子を見てみると、本当にクッションの役割を果たしていることがわかります。

電車が通過している最中の線路を観察していると、線路が電車の重みで沈み込んでいる様子が見えます。
線路が沈み込むということは、線路の下に敷いてあるバラストにも負荷がかかりますよね。

バラストは電車が通過した時に沈み込んでくる線路を支えることから、しっかりとクッションの役割を果たしているのです。
また、クッションとして機能することによって、周囲の建物への衝撃も最小限にしています。

しかし、線路を支えるのであれば、砂利なんかよりももっと硬い素材の方が良い気がしますよね?

砂利を敷かないと線路はどうなる?

それでは砂利をしかないで、むき出しになった地面の上に線路を敷くと、線路はどのようになるのでしょうか。
もし砂利を敷かない線路の上を電車が通過すると、砂利の時と同様に線路が沈み込みます。

しかも、砂利のようなクッション性がないことから、線路が沈み込んだ際に地面がひび割れていき、最終的には線路が陥没してしまいます。
更に言えば、砂利が高いクッション性を持っていることから、電車がほとんど揺れることなく人を目的まで運ぶことができています。

仮に地面の上にそのまま線路を敷くと、電車が通過する衝撃を地面が吸収してくれないため、電車は今よりもずっと揺れて乗り心地の悪い乗り物となってしまいます。
これは線路の下をコンクリートなどの別の素材に変えたとしても同様のことが言えます。

線路と砂利の相性が良い理由

線路に砂利を敷く理由
続いて、線路と砂利の相性が良い理由について解説していきます。

重さを適度に分散させる

重さを適度に分散することが出来るという点が、線路と砂利の相性が良い理由の一つとなっています。
実は線路に敷かれている砂利の石は大きすぎても小さすぎてもダメなんです。

砂のように小さすぎれば線路が沈みこんでしまいますし、石が大きすぎれば衝撃を吸収できずにクッションとしての役割を果たしません。
そのため、線路に敷かれている砂利に使われる石の大きさは、握りこぶしぐらいの大きさに調整されています。

この大きさの石を積み上げて砂利にすると、石同士に適度な隙間が出来て、石同士が複数の接点を持つようになります。
そのため、電車が線路上を通過した時に、線路のたわみにあわせて砂利の隙間が埋まり、複数の接点がいろいろな方向へと重さを分散させてくれるのです。

また、地震などの災害時も、例えばコンクリートなどの石材であれば、衝撃を逃がせないことからひび割れてしまいます。
一方で、砂利は色々な方向へと衝撃を分散させることから、線路に被害を最小限に留めるようになっています。

経年劣化に強い

線路は鉄で出来ていることから錆びやすく、線路の下の枕木は木で出来ているため腐りやすいのです。
このように、線路は水に弱いという弱点を持っているのですが、その点でも砂利は優秀です。

砂利は雨が降ったとしても鉄や水のように簡単に劣化することはありません。
また、砂利は隙間が多いことから水はけがよく、線路に水たまりを作らないことで線路の鉄や木が腐食してしまうことも防いでいるのです。

更に、普通の地面であれば雑草などの植物が生えてきますが、砂利は雑草が生育しにくいことから、線路の管理を容易にしています。

硬さを調節できる

石といっても柔らかい石から硬い石まで様々なものが存在していますよね。
石の硬さは素材を変えることによって変えることが出来るため、線路のクッション性の調整を可能にしています。

硬い石を使えば丈夫になりますが、衝撃の吸収率は悪くなってしまいます。
逆に、柔らかい石を使えば衝撃の吸収率はよくなりますが、柔らかくてすぐに線路が沈んで変形してしまいます。

そのため、ちょうど良い硬さの石を使うことによって、砂利に適度なクッション性を持たせているのです。

管理がしやすい

もし線路の下が砂利ではなく、コンクリートなどの石材だった場合は、管理が大変になります。
例えば、経年劣化や地震などによってひび割れてしまった場合には、直すために復旧工事が必要になります。

場合によっては重機を入れての工事になりますし、工事が出来る時間帯も限られています。
砂利であれば砂利の大きさや硬さ、量を線路外で調整することが出来て、あとは線路に敷くだけなので、他の石材を使うよりも抜群に管理がしやすいのです。

砂利はどこから運ばれてくる?

線路に砂利を敷く理由
最後に線路に敷く砂利がどこから運ばれてくるのかについて解説します。
元々は川から石を掘り出して使っていましたが、氾濫の危険もあることから現在では禁止されています。

そのため、線路に敷く砂利は山間部で収集しています。
山間部で収集された石は、線路に敷くにはサイズが大きすぎるため、機械で粉砕して大きさを調整しバラストにしています。

そして、作られたバラストはバラストクリーナと呼ばれる特殊車両で運ばれて、線路のバラストに補填されています。
このように、様々な理由から砂利は線路の下に敷く素材として優れていることを理解して頂けたかと思います。

以上が「線路に砂利を敷く理由」についてでした。


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まとめ

線路に敷く砂利は「バラスト」と呼ばれるものであり、電車が線路上を通過した時のクッションとしての意味を持っている。
砂利は適度な大きさの石と適度な硬さの石で調整することにより、高いクッション性を発揮することから、線路との相性が良い。
また、経年劣化にも強く管理もしやすいことから、線路の下に敷く石材として優れている。
砂利は山から収集したものを砕いて利用しており、バラストクリーナという特殊車両で運び込み、線路のバラストの補填を行っている。