今回は「卵と玉子の違い」ということで、たまごにまつわる雑学を紹介します。
和食に洋食に中華まで、卵は日本の食卓の様々なシーンで活躍し、欠かせない存在となっていますよね。
そんな「たまご」についてですが、たまごには「卵」と「玉子」という二種類の漢字があり、意外とこの二種類の漢字の違いについて説明できる人って少ないんですよね。
世間的には「卵は調理前」「玉子は調理後」などという違いが囁かかれていますが、実際には卵と玉子にはどのような違いがあるのでしょうか?
目次
卵と玉子の違い
それではさっそく卵と玉子の違いについて解説していきます。
冒頭で解説したように、確かに調理前のものが卵、調理後のものが玉子という区別をする方法がありますよね。
しかし、現実的には調理後の料理名に「卵」が使われているものもありますし、非常に定義が曖昧となっています。
実は、調理の有無以外にも「役割」の違いによって、卵と玉子の違いを説明することが出来ます。
役割による違い
卵は生物学的な意味
まずは「卵」についてですが、「卵」は生物学的な意味合いのある漢字となっています。
卵は鶏卵だけではなく、両生類や魚類、この世の全ての生物の卵を指す時に使われる漢字ですよね。
そのため、卵は食用というよりは、生物学的な観点から「孵化して子孫を繁栄させる目的」のものに対して使われる漢字なのです。
確かにカエルが産んだ卵や魚が産んだ卵のことを「玉子」と表記することはまずありえないですよね。
また、職人として修業を積んでいる人のことを「職人の卵」ということがありますよね。
これは「これから職人として孵化する」という意味が込められているため、「職人の玉子」と表記されることはありません。
玉子は食用という意味
卵が「孵化して子孫を繁栄させる」という役割があるのに対して、玉子には「食用」という意味が込められています。
食用を前提としているのが「玉子」のため、カエルの卵などは「玉子」と表記されることがないんですね。
また、人間の食べる「たまご」のほとんどが鳥類の卵のため、鳥類のたまごに対して使われるのが「玉子」という漢字になります。
鳥類の「たまご」だったとして、ペットとして飼育されている鳥ののものや、繁殖を目的としているものは「卵」と書きます。
そのため、鳥類のたまごの中でも「食用」という役割を持っているものに対してのみ「玉子」という漢字を使って区別しているんですね。
「役割の違い」ということで、卵と玉子の違いについてかなり理解できたのではないでしょうか?
漢字の成り立ちの違い
さらに卵と玉子の違いについて深掘りすると、漢字の成り立ちからも卵と玉子には違いがあることがわかります。
卵の成り立ち
「卵」という漢字の成り立ちについてですが、卵という漢字をよく見てみると、線によって二つの点が囲まれているのがわかりますよね。
これは外側を囲っている線が卵の殻を表しており、中身の点がこれから育っていく子供を表しているのです。
そして、二つ並んでいるということから、カエルや虫の卵のように連なっている様子を表しているんですね。
そのため、卵は先ほど解説したように、これから孵化して子孫を繁栄させていく役割を持ったものに対して使われているのです。
ちなみに、古語の卵は「殻の子」と書いて「かいのこ」と呼ばれていましたが、後に「卵」という漢字があてられることになりました。
玉子の成り立ち
続いて「玉子」という漢字の成り立ちですが、玉子という漢字の成り立ちは先ほど紹介した「殻の子(かいのこ)」に関係があります。
日本では「殻の子(かいのこ)」のことを「かいこ」と呼んでいる時代もありました。
そのため、虫の「蚕(かいこ)」と混同してしまうことあったそうなのです。
その後、たまごを意味する「かいこ」と「蚕(かいこ)」を区別するために、「玉の子」という言葉が誕生したんですね。
この「玉の子」という言葉が由来となって、現在の「玉子」という言葉が生まれたのです。
そして「玉」とは丸い形をしているものなので、その丸い形をしたたまごの子ということで、鳥類の卵のことを「玉子」と呼んでいたそうです。
調理の有無による違い
生の状態が卵
世間では調理される前の「生の状態のもの」を「卵」とする場合が多いようです。
確かに「生卵」のことを「生玉子」と表記することはありませんし、実際に変換しようとしても変換できません。
また、レシピなどを見ていても、卵は材料として使う生のもののため、ちゃんと「卵」と表記されていますよね。
更にいえば、たまごかけご飯などについても「卵かけご飯」とは書きますが、おそらく「玉子かけご飯」とは書かないことが多いはずです。
調理されたものが玉子
一方、玉子については調理されたものに対して使われることが多い漢字です。
寿司屋や回転寿司などで見かけるお品書きには、たまごが「玉子」と表記されていることが多いですよね。
しかし、実際には「調理の有無」によって、卵と玉子の使い分けが明確にされている訳ではありません。
例えば「たまごやき」は「玉子焼き」と表記することもあれば、「卵焼き」とされることもあります。
また、生の状態では「生卵」と表記されることが多いですが、茹でれば「ゆで卵」「ゆで玉子」どちらでも表記されることがあります。
調理の有無による違いは一種の目安程度に考えて、区別は「孵化して子孫を繁栄させるもの」と「食用」という役割の違いでつけましょう。
以上が「卵と玉子の違い」についてでした。
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まとめ
卵と玉子は一般的に「調理の有無」によって違いが区別されているが、役割によって区別する方法がある。
「卵」が孵化して子孫を繁栄させる目的があるものに対して使われる漢字で、玉子が食用という目的で使われる漢字である。
そのため、卵は生物全般の卵を意味するのに対して、玉子は鳥類の卵であり食用のものという意味で使われる。
調理の有無による明確な違いはなく、ものによっては調理後のものでも「卵」と書く場合がある。