今回は「朝鮮人参と高麗人参の違い」ということで、漢方にまつわる雑学を紹介します。
朝鮮人参と高麗人参には薬用成分が多く含まれていることから、日本では漢方や生薬として活躍していますよね。
身体に良いということはわかりますが、意外と朝鮮人参と高麗人参の違いについてはわからないという人も多いはず。
また、ぞれぞれにはどのような効能があるのか、わかりやすく解説していきます。
朝鮮人参と高麗人参の違いとは?
それではさっそく「朝鮮人参と高麗人参の違い」について解説していきます。
結論から言ってしまえば、朝鮮人参と高麗人参は呼び方が違うというだけで、全く同じ物を指します。
どちらも植物としての分類上は、ウコギ科の多年草に分類され、古くは朝鮮半島からの輸入でしか手に入らないものでした。
そして、朝鮮半島は時代によっては「高麗」という国名だったこともあり、呼び方が統一されていないんですね。
日本が江戸時代を迎えると、徳川吉宗の命令により、朝鮮人参の国内での栽培が行われるようになりました。
その時、幕府から配られた種は「御種」と呼ばれたことから、別名「オタネニンジン」とも呼ばれています。
そのため、朝鮮人参と高麗人参とオタネニンジンは名称が違うだけで同じ物を指すんですね。
ちなみに、野菜の人参についても実は16世紀ごろに中国から日本へともたらされたもののため、それまでの日本人は野菜の人参を食べる文化がありませんでした。
野菜の人参との違い
続いて、野菜の人参との違いについて解説していきます。
朝鮮人参がウコギ科の多年草に分類されていたのに対して、人参はセリ科の越年草に分類されます。
そのため、「人参」という呼び方が同じというだけで、本来は全く別の植物なのです。
実は日本に伝わったのは朝鮮人参の方が早かったため、区別するために野菜の人参は「セリニンジン」と呼ばれていました。
「セリニンジン」の名前の由来は、葉の部分が「セリ」に似ていて、根の部分が朝鮮人参に似ていたからですね。
他にも「菜人参」「人参菜」「畑人参」とも呼ばれましたが、やがてセリニンジンが主流になると、そのまま「人参」と呼ばれるようになりました。
どんな効能がある?
朝鮮人参や高麗人参は漢方として使われることが多く、生薬としても知られていますよね。
どのような効能があるのかというと、主に「糖尿病」「動脈硬化」「滋養強壮」などに効果があります。
これは朝鮮人参に含まれる「ジンセノサイド」と呼ばれる成分が働くためであり、古くから生薬として服用されてきた歴史があります。
特に日本では「滋養強壮」の目的で服用されることが多く、栄養ドリンクなどの成分表を見てみると、朝鮮人参が入っていることが多いですよね。
また、自律神経の乱れを整えて正常にする効果もあり、様々な場面で活躍する生薬として知られています。
漢方として使う時には、他の漢方と混ぜ合わせることによって、薬効を強める効果があることで知られています。
以上が「朝鮮人参と高麗人参の違い」についてでした。
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まとめ
朝鮮人参と高麗人参は呼び方が違うだけで全く同じ物を意味しており、他にも「オタネニンジン」とも呼ばれている。
「オタネニンジン」については、徳川吉宗の命令によって朝鮮人参の栽培が始まり、その際に幕府から朝鮮人参の「御種」が配られたことに由来する。
野菜の人参とは植物の分類が異なるため、全く別物であり、野菜の人参は昔は「セリニンジン」と呼ばれていた。
生薬としては「糖尿病」「動脈硬化」「滋養強壮」などに効果があり、漢方では他の漢方と混ぜ合わせることによって、薬効を高める効果がある。