フグが毒を持つ理由を解説!実は養殖されたフグには毒がない。

今回は「フグが毒を持つ理由」ということで、フグにまつわる雑学を紹介します。
フグは高級魚で滅多に食べる機会はありませんが、それでも毎年何人かはフグ毒で亡くなる方がいますよね。

フグ毒はほんの少し摂取するだけで人間を死に至らしめることから、特殊な免許がないとフグを捌くことは出来ません。
しかし、実は毒を持っているフグは自然界にいる天然のフグだけで、養殖されたフグには毒がないのです。

フグが毒を持つ理由を解説

フグ毒理由なぜ
それではさっそく「フグが毒を持つ理由」についてですが、基本的には「身を守るため」に毒を持っています。
海だけではなく、地上にも毒を持つ生き物はたくさんいますが、捕食する側の動物は攻撃手段として相手の動きを麻痺させるような神経毒を使います。

そして、捕食される側は捕食されないように防御手段として猛毒を持っていることが多いのです。
基本的に捕食される側の動物は攻撃手段を持っていないため、猛毒を持っていること自体が威嚇となり、捕食者から身を守っているんですね。

大きなフグの方が身体も大きいため、体内にたくさんの毒を蓄積させているように見えるかもしれません。
しかし、外敵から狙われやすい小さなフグの方が、自分の身を守るためにたくさんの毒を蓄積させていることが多いそうです。

捕食者以外からも身を守っている

毒は捕食者以外からもフグを守っています。
海には捕食者以外の厄介な生き物として、様々な「寄生虫」が存在しています。

そのような寄生虫からも身を守るのにも、フグの体内の毒は活躍しているのです。
毒によって身を守っているということもあり、毒がなく危険に晒された状態になると、ストレスを感じて仲間に噛みつく個体も現れるようです。

オスを引き付ける作用がある

また、身を守る以外にもこの毒には「オスを引き付ける」という効果があるようです。
メスは卵巣に猛毒を持っていますが、実はこれがオスを引き付けるフェロモンとしての役割を果たしているんですね。

蓄積された毒の量が多ければ多いほど、オスを引き付ける効果が高いと考えられています。
そのため、メスは卵巣にたくさんの毒を蓄積させているんですね。

フグ毒の正体

フグの体内に蓄積された毒の正体は「テトロドトキシン」と呼ばれる猛毒です。
1909年に薬学者の田原良純博士によって命名された毒で、炭素、酸素、水素、窒素からなるとても複雑な構造をしています。

もし人間がテトロドトキシンを摂取した場合は、体内の細胞の表面にあるタンパク質と強く結びつき、中毒症状を起こします。
具体的には「呼吸困難」「嘔吐」「めまい」「痺れ」「血圧の低下」などの中毒症状を起こし、人間を死に至らしめることがあります。

フグ毒の致死量

テトロドトキシンは猛毒とて知られていますが、その威力は青酸カリの1000倍以上もあり、高い致死性があります。
自然界に存在する数多くの毒の中で最も強力な部類の毒であり、人間は1mg~2mg摂取するだけで中毒症状を引き起こして死んでしまいます。

ほんの僅かでも死に至ってしまいますし、毒の存在に気付いた時にはもう遅く、毎年のように亡くなってしまう方がいるんですね。
テトロドトキシンの中毒症状には「痺れ」がありますし、舌に触れるとピリピリする感覚があるそうです。

そのため、フグを食べていて舌の痺れを感じるようであれば、すぐにフグを食べるのをやめたほうが良いでしょう。

自らの毒で死なない理由

そこまで強力な毒を持ちながら、フグ自身が自らの毒で死なない理由についてです。
人間は体内にあるタンパク質がテトロドトキシンと結合するこちによって、中毒症状を起こすことは解説しましたよね。

フグは人間とはタンパク質の構造が異なっているため、テトロドトキシンと結びつくことがなく、中毒症状が発症しないのです。
そもそも、自らの毒で死んでしまうようであれば、それは全く自己防衛の意味をなしていないですよね。

フグの毒はどのように生成される?

続いて「フグの毒はどのように生成されているのか」について解説します。
フグは自分の体内で毒を生成していると思われがちですが、実は自分で毒を生成することは出来ません。

それではそのようにして毒を体内に蓄積させているのかというと、普段から食べている餌に関係があります。
フグはヒトデや貝、藻類などの海草を餌にしていますが、餌の中にも毒をもった生物がいます。

それらの毒をもった生物を捕食し、毒だけをうまく取り出して体内に蓄積させているのです。
フグは餌を食べることによって、栄養と毒の両方を補給していたんですね。

養殖されたフグには毒がない

フグは自分で体内に毒を生成することが出来ないため、食べる餌を変えれば毒は蓄積されません。
そのため、毒を含まない餌で育てられた養殖のフグについては、実は無毒なんですね。

フグ=猛毒というイメージが定着しているかもしれませんが、人工的に毒を持たないフグを育てることも出来るのです。

フグを捌くための免許

フグが強力な毒を持っていることから、日本には「フグ調理師免許」というフグを捌くための免許が存在しています。
フグを捌くのにもやはり技術が必要で、技術の無い人がフグを捌くと毒をため込んだ内臓に傷をつけてしまい、毒が漏れ出てしまう可能性があるのです。

そのため、フグを捌きたいという人は必ず「フグ調理師免許」を取るようにしてください。
ちなみに、捌いたフグを他の人に提供するためには「フグ調理師免許」が必要ですが、自分で捌いて食べることについては特に規制がありません。

以上が「フグが毒を持つ理由」についてでした。


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まとめ

フグが毒を持つ理由は「捕食者から身を守るため」「寄生虫から身を守るため」「メスがオスを引き寄せるため」だと考えられてる。
フグの毒の正体は「テトロドトキシン」であり、青酸カリの1000倍以上の威力を持ち、1mg~2mgで人間を死に至らしめることが出来る。
フグは体内で毒を生成することが出来ないため、食べた餌の毒を取り出して体内に蓄積させている。
そのため、毒のない餌を与えて育てた養殖のフグには毒がない。