ウミガメが産卵で涙を流す理由は、苦しいからではなく塩分調整。

今回は「ウミガメが産卵で涙を流す理由」ということで、ウミガメにまつわる雑学を紹介します。
ウミガメは産卵の時期を迎えると、砂浜に上陸をして涙を流しながら産卵をするのが印象的ですよね。

人間も出産をする時には大変な痛みや苦痛が伴うことから、ウミガメも苦しいから涙を流すと思われているかもしれません。
しかし、ウミガメは別に苦しみや痛みを堪えて涙を流している訳ではないのです。

日本国内でウミガメの産卵が見られる場所についてや、ウミガメは飼育できるのかなど、ウミガメにまつわる様々な情報を紹介します。

ウミガメが産卵で涙を流す理由

ウミガメ涙理由
それではさっそく「ウミガメが産卵で涙を流す理由」について解説していきます。
冒頭でも軽く解説しましたが、ウミガメは産卵が苦しいから涙を流している訳ではありません。

むしろ、ウミガメは産卵の時だけではなく、日常生活においても涙を流しています。
なぜウミガメが普段から涙を流しているのかというと、涙を出すことで体内の塩分濃度を調整しているからなのです。

涙で体内の塩分を調整している

実はウミガメも人間と同じで、あまりにも体内に塩分がたまってくると悪影響が出ます。
海を泳いで生活をしているウミガメは、終始塩分を摂取し続けることになりますよね。

そのため、目の横にある「塩類腺(えんるいせん)」と呼ばれる器官を使って、粘液と共に塩分を体外に排出しているのです。
そして、産卵のために砂浜に上陸した際も、粘液が排出されていることから、それが涙に見えていたんですね。

また、この涙には塩分を排出する以外にも、陸上において目が乾燥することを防ぐ効果もあります。
人間の目にはとても神秘的に見える光景でしたが、ウミガメにとっては当たり前のように塩分を排出していただけなのでした。

日本でウミガメの産卵が見られる場所

ウミガメ涙理由
基本的には水族館でしかウミガメを見ることが出来ませんが、国内にもウミガメを見ることが出来る場所があります。
しかも、時期によってはウミガメの産卵シーンを見ることもできるそうです。

場所は小笠原諸島の「小笠原村父島」という島であり、国内ではウミガメの最大の繁殖地として知られています。
ただし、東京から船で1日以上かかるため、連休などを使って見に行く必要があります。

現実的な近さでいえば、和歌山県みなべ町の「千里の浜」もウミガメの繁殖地として知られています。
5月~8月がウミガメの産卵シーズンであり、ウミガメを観察する場合には事前にみなべ町教育委員会に申請をする必要があります。

また、距離は遠くなりますが児島県南部にある「屋久島」についてもウミガメの産卵が見られます。
「永田いなか浜」では毎年1万頭以上のウミガメが産卵のために上陸しています。

ウミガメの数は減っている?

日本国内でもウミガメを観察できる場所はありますが、実はウミガメは年々その数を減らしています。
産まれたウミガメがそのまま大人になるのは100匹に1~2匹程度しかおらず、なかなか数が増えないそうです。

そして、一番の原因は人間にあり、ウミガメが乱獲されたり、ゴミなどの不法投棄によって環境汚染が進んでいることが影響しています。
砂浜も開発が進んでしまい、ウミガメが安心して産卵出来る場所も減ってきているそうです。

ウミガメは飼える?

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愛くるしい姿をしているウミガメですが、ペットとして飼育することはできるのでしょうか?
2019年現在ではミドリガメなどの飼育も禁止されてしまいましたし、可能ならウミガメを飼育してみたい方もいるかと思います。

しかし、残念ながら、ウミガメを飼育することは法律によって禁じられています。
もちろん野生のウミガメを捕獲することも禁じられていますし、ウミガメを売買することについても違法となります。

絶滅危惧種に指定されているほどですから、ペットとして飼育できないのは当たり前といえば当たり前ですよね。
ウミガメを見たい場合には水族館に足を運ぶか、産卵シーズンに先ほど紹介した場所へと足を運ぶようにしてくださいね。

以上が「ウミガメが産卵で涙を流す理由」についてでした。


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まとめ

ウミガメが産卵の時に涙を流すのは苦しいからではなく、体内の塩分濃度を調整するためである。
海で暮らすウミガメは常に海水から塩分を摂取し続けるため、目の横にある「塩類腺(えんるいせん)」から粘液を出して、体内の塩分濃度を調整する必要がある。
また、陸地に上がった際には、粘液を出すことによって目の乾燥を防ぐ効果もある。
ウミガメの産卵は日本国内でも観測できる場所がいくつかあるが、ウミガメはその数を年々減らしている。