カモシカの足は太いのに、細いという意味で比喩されるのはなぜ?

今回は「カモシカの足は太い」ということで、カモシカにまつわる雑学を紹介します。
足の細い女性に対して「カモシカのような足」という比喩表現が使われることがありますよね。

これは「スラッと細く綺麗な足」を意味する言葉ですが、実はカモシカの足はとてもたくましくて丈夫なのです。
それでは、なぜ細くてスラッとした足のことを「カモシカのような足」と比喩するようになったのでしょうか?

カモシカの足は太い

カモシカ足太い
そもそもなぜ足が太いのかというと「カモシカの生態」が関係しています。
カモシカはシャモア族カモシカ属の動物であり、以下の三種類のことを主に「カモシカ」と呼んでいます。

・ニホンカモシカ
・タイワンカモシカ
・スマトラカモシカ

日本に生息しているのは「ニホンカモシカ」であり、東北地方から中部地方、四国地方や九州地方にかけての山中に広く分布しています。
そして、名前に「シカ」と付くことから鹿の仲間だと思われがちですが、ウシ科に属しているため、実は牛やヤギの仲間なんですね。

そのため、鹿のように角が生え変わったり、枝分かれすることはなく、ウシ科の他の動物と似たような生態をしています。
また、角が生え変わることがないことから、角の大きさで大体の年齢を推測することが出来ます。

山で生活するため丈夫な足をしている

続いて「カモシカの足が太い理由」について解説していきます。
カモシカは山の中で木の葉や樹皮、果実などを餌にして生活しています。

そのため、餌を探し回るためには、山の斜面などを歩き回らなければならないため、足が太くてとても丈夫に出来ているんですね。
また、ウシやヤギの仲間ということもあり、足はそこまで長くなく、むしろ少し短めでずんぐりとしています。

足が細くて長いのは、山中の険しい斜面などを歩き回るのに不向きであるため、このような体形に進化したと考えられています。
体格はオスとメスでほとんど変わらず、体長が100~120cm程度、体重が30kg~45kgとなっています。

細いという意味で比喩されるのはなぜ?

カモシカ足太い
カモシカの足が太くて丈夫に出来ているということはわかりましたよね。
それでは、なぜ「スラッとした細い足」のことを「カモシカのような足」と呼ぶようになったのでしょうか?

実はカモシカが「レイヨウ」と呼ばれる動物に勘違いされていたことが由来となっているのです。
レイヨウは漢字で書くと「羚羊」と書きますが、カモシカも漢字で書くと「羚羊」と書きます。

昔の人が実際の「レイヨウ」がどんな動物かを知らなかったため、カモシカを見た時に「この動物がレイヨウに違いない」と勘違いを起こしました。
そして、「羚羊(レイヨウ)」と「羚羊(カモシカ)」が混同していった結果、「カモシカのような足」という言葉が誕生したのです。

羚羊(レイヨウ)とは?

それでは「羚羊(レイヨウ)」とは本来どのような動物のことなのでしょうか?
レイヨウとはウシ科の大部分を含めたグループの総称を指します。

しかし、ウシ科の中でもウシ族やヤギ亜科に含まれる動物は羚羊ではないため、ヤギ亜科のカモシカはレイヨウではありません。
それではレイヨウにはどのような動物がいるのかというと、トムソンガゼルやインパラといった動物が挙げられます。

レイヨウは草原で生活していることから、肉食獣に狙われることも多く、素早く走るためにスラッと細い足をしています。
そのため、「羚羊(カモシカ)のような足」は間違いであり、本来は「羚羊(レイヨウ)のような足」が正解だったのです。

「羚羊」という漢字は「カモシカ」とも「レイヨウ」とも呼べますし、日本人にとって馴染みがあるのはカモシカの方ですよね。
「羚羊のような足」と書いた時に、誤って「カモシカのような足」と読んでしまうのも無理はないのかもしれません。

以上が「カモシカの脚は太い」という雑学でした。


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まとめ

「カモシカのような足」という比喩表現があることから、カモシカの足はスラッと細いものだと思われている。
しかし、実際には山の中で生活をしていることから、斜面などを昇るためにたくましく丈夫で太い足をしている。
インパラやトムソンガゼルなどの動物を総称して「レイヨウ」と呼び、カモシカについても漢字で書くと「羚羊(レイヨウ)」となる。
そのため「羚羊(レイヨウ)」と「羚羊(カモシカ)」が混同されるようになり、本来足が細くないカモシカまで足が細いと勘違いされるようになった。