今回は「三味線に猫皮や犬皮が使われる理由」ということで、三味線にまつわる雑学を紹介します。
日本の伝統楽器となっている「三味線」ですが、三味線を作る材料として猫や犬の皮が使われているってご存じでしょうか?
猫や犬は日本人にとって身近な動物のためショックが大きいかもしれませんが、動物の皮を使うのにも理由があるそうです。
動物愛護団体の声もある中で、どのようにして材料の皮を手に入れているのかについても解説していきます。
目次
三味線には猫の皮が使われている
三味線は元々は中国から伝わった「三弦」と呼ばれる楽器を基にして作られたものです。
中国から三弦がもたらされたのは14世紀末のことであり、当時の琉球王国に持ち込まれました。
その頃の琉球王国ではヘビの皮を材料として三弦を作っていたそうで、ヘビの皮を材料とした楽器を「三線」と呼ぶようになりました。
そして、三線が琉球王国から日本へ伝わり、猫や犬の皮を使って作るようになった楽器を「三味線」と呼ぶようになったんですね。
現代では猫や犬は日本人にとって家族のような存在となっていますが、一方で2019年現在でも三味線の材料として使われています。
とても可愛そうに思えるかもしれませんが、古くから伝わる伝統楽器であることから、しょうがない一面もあるのかもしれません。
猫の皮を使用する理由
日本には狩猟が許されている野生動物が他にもいますが、なぜ猫の皮を使って三味線を作るのでしょうか?
それは「猫の皮が三味線に最適だから」なんですね。
三味線の材料として使われる猫の皮は、主に猫のお腹の皮の部分ですが、この猫のお腹の皮がいい音を鳴らすのに適しているのです。
触ったことがある方はご存じかと思いますが、猫のお腹の皮はとても柔らかくきめ細やかで、薄くなっていますよね。
そのため、三味線の材料として使うと、他の動物の皮では再現することの出来ないような、甘くて上品な音が出るようになるのです。
現在でもプロの三味線奏者の方は、人前で演奏をする際には猫の皮を材料とした三味線を使っているそうです。
また、現在では猫を勝手に保護したり捕まえたりすると犯罪になってしまいます。
しかし、三味線が作られ始めたころの日本では、容易に猫の皮を入手出来たことから、猫の皮を使って三味線を作っていた背景があるそうです。
どのように猫の皮を入手している?
それでは、現在はどのようにして猫の皮を入手しているのでしょうか?
先ほども解説したように、猫を勝手に捕まえて材料にすると犯罪となってしまうことから、現在は99%が輸入された猫の皮を使用しています。
輸入先はお隣の国である中国で、中国では猫は食用にもなっていることから、輸入のほとんどを中国に頼っているんですね。
残りの1%はどのように入手しているのかというと、ペットとして飼われていた猫の皮を利用しているそうです。
猫の飼い主の中には、自分の飼っていた猫が何らかの形で残ってほしいと考える人もいます。
そのため、亡くなった猫に今後は楽器として生きてほしいと願って、三味線職人へと提供されることもあるそうです。
過去には保健所で殺処分されてしまった猫の皮が二次利用されることもありましたが、動物愛護法が制定したことによって禁止されました。
また、動物愛護の観点から、例え輸入だったとしても、猫の皮を入手することは年々困難となっている背景もあるようです。
過去にはトラブルもあった
現代ではほとんどなくなりましたが、猫の皮の入手でトラブルになることもありました。
猫の皮は三味線職人に売れば高く売れることから、一般人も猫を捕まえて売ることがあったそうです。
このような行為を生業としている人たちは「猫捕り」と呼ばれていて、昭和時代までは存在していたのです。
猫捕りが横行していた時代には、飼い猫が盗まれてしまうこともあったそうで、度々トラブルを招いていました。
他にも犬の皮が使われている
冒頭でも書きましたが、猫の皮以外にも、三味線には犬の皮も材料として使われることがあります。
犬の皮は猫に比べて硬くて荒いことから、猫の皮を使った三味線のような上品な音を奏でることは出来ません。
しかし、その反面丈夫であることから、稽古用の三味線であったり、叩いて演奏をする際には犬の皮を使った三味線が重宝されるそうです。
また、音は犬の皮を使った三味線の方が遠くまで響くことから、広い場所では犬の皮を使った三味線で演奏することも多いようです。
このようにして、プロの三味線奏者は猫の皮や犬の皮を使った三味線を、用途によって使い分けているんですね。
また、犬の皮を三味線に使った理由として、猫と同様に手に入りやすかったことも背景にあるようです。
抵抗のある人は合成皮
猫や犬といった動物が好きな人にとって、三味線は手を出しにくい楽器のように感じられるかもしれません。
しかし、三味線にも動物の皮を材料とせず、合成皮革を材料にして作られているものもあります。
合成皮革を材料として作られた三味線は安価で破れにくいことから、入門用の三味線として最適となっています。
音楽教材用に作られている三味線も合成皮革を材料にしているものも多く、動物の皮を使った三味線に抵抗のある人にはうってつけなんですね。
プロの三味線奏者の方は合成皮革を使った三味線を、公演などで使うことは滅多にありませんが、趣味として楽しむ分には全く問題はありません。
三味線に興味があるという人は、入門用の三味線として、合成皮革を使った三味線を検討してみてはいかがでしょうか?
以上が三味線にについてでした。
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まとめ
三味線には猫や犬などの日本人にとって身近な動物の皮が材料として使われている。
猫の皮は柔らかくて肌がきめ細かく薄いことから、上品で甘い音が出ることで知られていて、特に子猫の皮が重宝されている。
犬の皮は硬くて荒いことから音にも硬さが出てしまうが、その反面丈夫であることから、稽古用の三味線などに使われることが多い。
過去には三味線を製造する業者に猫の皮を高値で売りつけるため、他人の飼い猫まで捕まえるような行為が行われることもあった。