エスカレーターのマナーの片側空けは危険、今後は対策される?

エスカレーターには片側を空けて、急いでいる人が通りやすいようにするというマナーがありますよね。
特に混雑の多い地域では徹底されていて、ちゃんとこのマナーを守っている人も多いかと思います。

しかし、実はエスカレーターの片側空けのマナーは危険なものだってご存じでしょうか?
今回はエスカレーターの片側空けが始まったきっかけについてや、なぜ危険なのかについて解説します。

エスカレーターの片側空けは危険

確かにエスカレーターの片側空けのマナーは急いでいる人とっては歩きやすく、ありがたいものですよね。
しかし、日本エレベーター協会によると、そもそも「エスカレーターは歩行禁止」と呼びかけられています。

実際に2019年現在では「エスカレーターは歩行せず、手すりにお掴まりください。」といったアナウンスが流れるエスカレーターが多くなっています。
そして、エスカレーター付近には同様の内容の張り紙などが貼られているのを目にするようになりました。

それでは、エスカレーターの片側を空けて歩行することに、どんな危険があるのでしょうか?

つまづきやすいため

実はエスカレーターは普通の階段よりもずっとつまづきやすく、転びやすくなっているのです。
エスカレーターは階段と違って、歩行することを想定して作られていないため、通常の階段よりも勾配が急になっています。

更にステップの高さについてや奥行きについても、階段よりも大きく作られており、追い越しをする想定はされていません。
エスカレーターは立ち止まって乗ることを前提として作られているため、きちんと手すりに掴まって乗ることを意識しましょう。

緊急停止に対応できないため

エスカレーターは予期せぬタイミングで緊急停止することがあります。
緊急停止した場合に手すりに掴まらず歩行をしていると、当然ですが転んでしまいますよね。

また、自分だけでなく、緊急停止した際には他の人もバランスを崩しているため、他の人も巻き込んで転んでしまうことも考えられます。
エスカレーターの乗降ではハプニングが起こりやすく、停電や地震などの災害など、いつエスカレーターが緊急停止するかはわかりません。

エスカレーターの故障に繋がる

エスカレーターの片側だけが立ち止まり、片側だけを歩行する状態が続くと、一方にだけ負荷がかかり続けることになります。
そのため、エスカレーターの経年劣化が激しくなり、故障の原因となりえる場合があるそうです。

先ほど解説したように、エスカレーターは立ち止まって乗ることを想定して作られました。
つまり、片側に人が乗るというよりは、両方に立ち止まって乗ることを想定して作られているのです。

予期せぬ故障は緊急停止につながりかねませんし、やはり片側を空けて歩行することは危険なマナーといえるでしょう。

片側空けは本当に効率的?

実は各鉄道会社によってエスカレーターの片側空けのマナーが推奨されていた時期もありました。
駅のエスカレーターは特に混雑しやすいため、混雑を少しでも緩和しようと考えたのです。

しかし、エスカレーターの片側を空けることにより、本当に混雑は緩和されるのでしょうか?
止まって乗ろうとする人が片側に群がって渋滞を起こし、かえって混雑が増しているようにも見えますよね。

過去に行われた検証

イギリスのロンドンではこうした疑問を解消をすべく、実際に検証が行われました。
2015年、2016年にロンドン地下鉄のホルボーン駅で行われた検証によれば、なんと両側で立ち止まった方が効率が良いという結果が得られたのです。

両側に立ち止まって乗った時の方が、片側を空けていた時に比べて、30%も多くの人を運ぶことが出来たのです。
すぐには難しいかもしれませんが、全員が立ち止まって乗るものだと意識を統一することば出来れば、現在よりもエスカレーターの混雑が30%は緩和されるかもしれません。

歩行を不快・不便に思う人もいる

2019年現在では「エスカレーターの歩行はやめた方が良い」と考える人の数は7割を超えているそうです。
そして、エスカレーターの歩行に対して不快に思う人も少なからず存在します。

エスカレーターのように不安定な足場の場所で、横を人がすり抜けていくのが怖いという人がいるのです。
また、老人の方で足腰が弱いという人にとっても、片側空けのマナーは不便と感じてしまうそうです。

片側空けのマナーが始まったきっかけ

そもそも、推奨されていないエスカレーターの片側空けのマナーがどのようにして始まったのでしょうか。

きっかけはイギリス

最初にエスカレーターの片側空けのマナーを呼びかけたのはイギリスだとされています。
第二次世界大戦中にエスカレーターの混雑を緩和するために呼びかけられたのがきっかけでした。

日本の最初は大阪

日本で最初にエスカレーターの片側空けのマナーが取り入れられたのは、1960年代のことでした。
阪急電鉄の梅田駅が移転した際にエスカレーターが長くなったため、急ぐ人のためにエスカレーターの片側を空けることが呼びかけられたのが始まりでした。

1970年の大阪万博で公開された歩く歩道においても、イギリス式の片側空けのマナーが導入されていたそうです。
そして、1980年代になって東京に深い地下鉄駅が誕生するようになると、長距離のエスカレーターは更に増えていきました。

東京でもそのことをきっかけとして、エスカレーターの片側空けのマナーが普及するようになりました。
その後はエスカレーターの片側空けがマナーとして全国的に広まっていったのでした。

以上がエスカレーターの片側空けのマナーについてでした。


注目記事


他にも、こんな雑学がお勧めです。
実はめちゃくちゃ長いタイの首都の正式名称
夏季と冬季のオリンピックが二年ずれている理由とは?
二枚目の意味や語源由来、実は一枚目や三枚目、八枚目まである。

まとめ

エスカレーターの片側空けのマナーは、エスカレーター上の歩行が推奨がされていないため危険である。
エスカレーターは立ち止まって乗ることが想定されていることから、通常の階段よりもつまづきやすく転びやすい構造をしている。
元々は駅のエスカレーターの混雑緩和のために呼びかけられたマナーだが、実際には両側に立ち止まって乗った方が効率が良いという検証結果もある。
最初に片側空けのマナーを呼びかけたのはイギリスであり、日本では最初に大坂の梅田駅で取り入れられ、やがて全国へと広まっていった。