ステンレスが錆びない理由と原理、錆びた場合の対処方法。

今回は「ステンレスが錆びない理由と原理」ということで、金属の雑学を紹介します。
ステンレスは他の金属とは違い、錆びにくく汚れにくいことから、家庭で使われる鍋から工業製品まで幅広い用途で活躍しています。

そもそも「ステンレス」とは”stain less steel”のことであり、“stain less”は「汚れにくい、錆びにくい」という意味なんですね。
厳密にはステンレスが全く錆びないということはありませんが、他の金属に比べてなぜ錆びにくく、そして汚れにくくなっているのしょうか?

ステンレスが錆びない理由と原理

それではさっそくステンレスが錆びない理由と原理について解説していきます。
ステンレスが錆びにくく汚れない理由は、簡単に言えば「酸化膜で保護されているから」なのです。

他の金属は洗った時の水分や空気中の水分などに反応するため、表面が酸化物などで覆われた状態となっています。
そして、金属が常に水分と反応し続けることから、少しずつ錆びが発生して腐食が進んでしまうんですね。

つまり、金属を錆びさせないためには、いかに水分から金属を守ってあげられるかが重要となっています。

ステンレスの素材

ステンレスが他の金属に比べて錆びにくく、汚れにくい理由には使われている素材に関係があります。
ステンレスには必ずクロムという金属12%以上添加されており、このような金属は高合金鋼と呼ばれています。

先ほど「酸化膜で保護されている」と解説しましたが、クロムが空気中の酸素と結合することによって、酸化膜を形成しているんですね。
そのため、ステンレスは空気中の酸素(水分)と反応することなく、酸化して錆びていくことを防いでいるのです。

酸化膜は厚さが100万分の3mm程度しかありませんが、摩耗で傷つきはがれてしまったとしても、すぐにクロムが酸素と結合して、酸化膜を修復します。
この酸化膜の修復力の強さも、ステンレスが錆びにくく丈夫であることの理由の一つとなっているんですね。

また、ステンレスは強度が高く、熱にも強い、加工がしやすいなどの利点もあることから、家庭だけではなく様々な用途で役立てられています。
主に水分の多い場所で金属を使用する場合は、ステンレス素材が欠かせないものとなっています。

更に言えば、ステンレスは100%全てをリサイクルすることが可能であるため、環境にも優しい万能な金属なのです。

錆びた場合の対処方法

ステンレスは錆びにくくはありますが、全く錆びないという訳ではありません。
なるべく水分の少ない場所に保管し、水分をふき取るようにメンテナンスしていれば長く使うことが出来ます。

しかし、他の鍋などで発生した錆をもらってしまい、ステンレスにも錆が付着して腐食するケースがあります。
そのため、ステンレスを錆びさせないためには、他の錆びた鍋とは離して保管することが重要です。

仮に錆がステンレスに付着してしまったとしても、ふき取るなどして慌てずに錆を取り除くように対処してください。
錆取り剤などが市販されていますが、酸を含んだ錆取り剤を使うと余計に錆びが進行してしまいますので、使うことは厳禁です。

錆さえ取り除いてしまえば、クロムに酸素が補給されて酸化膜を作ってくれますので、常日頃から錆びていないかを細かにチェックしてくださいね。
以上が「ステンレスが錆びない理由と原理」と「錆びた場合の対処方法」についてでした。


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まとめ

「ステンレス」とは”stain less steel”のことであり、”stain less”には「汚れにくい、錆びにくい」という意味がある。
ステンレスが錆びない理由はクロムが空気中の酸素と反応して、酸化膜を張って保護されているからである。
ステンレスは他の鍋などから錆をもらうことによって、錆びてしまうこともある。
その場合は錆を直ちに除去する必要があり、その際に酸を含んだ錆取り剤を使ってはいけない。