今回は「包丁の語源・由来」ということで、包丁にまつわる雑学を紹介します。
料理をする人であれば日常的に使っている「包丁」ですが、実は語源・や由来についてはほとんど知られていません。
食材を包み込む道具ではないのに漢字で「包丁」と書くのは、よく考えてみると不思議ですよね。
実はこの「包丁」という名称については、中国の料理人に関係のある言葉だったのです。
包丁の語源・由来
それではさっそく「包丁」という言葉の語源・由来について解説していきます。
包丁という言葉は元々は日本で使われていた訳ではなく、中国で誕生した言葉でした。
そして、中国では「包丁」といえば道具ではなく、人物を表す言葉だったんですね。
それでは、どのような経緯で「包丁」が調理器具の名前を指すようになったのでしょうか。
元々は料理人という意味
現在では「ほうちょう」には「包丁」という漢字があてられていますが、当初は「庖丁」という漢字があてられていました。
そして、中国では読み方も「ほうちょう」ではなく、「ほうてい」と読まれていたのです。
中国語では「庖」という漢字に「調理場」という意味が込められており、「丁」には「職務に従事する男」という意味があります。
そのため、古代の中国では「庖丁(ほうてい)」と言えば「調理場で働く人=料理人」のことを意味していたのです。
道具の名前に変わった理由
「庖丁(ほうてい)」が人物を意味する言葉だったのが、道具の名前に変化したのは中国が魏の恵王の時代のことでした。
荘子によって書かれた「養生主篇」という書物によると、とある料理人=庖丁(ほうてい)が恵王の前で料理を披露したことが由来だとされています。
庖丁(ほうてい)が牛一頭を見事な刀捌きによって素早く解体していくと、恵王はその庖丁(ほうてい)の腕前に感嘆しました。
そのため、その時に使用された料理刀のことを「庖丁(ほうてい)」と呼ぶようになったのです。
やがて、庖丁(ほうてい)は料理人を意味する言葉ではなく、調理に使われる道具を意味する言葉となっていったんですね。
その後、日本に庖丁(ほうてい)が伝わると、日本語の読み方で「ほうちょう」と呼ばれるようになったのです。
日本の昔の包丁の呼び名
日本に「庖丁(ほうてい)」という言葉が伝わるまでは、日本でも包丁には別の呼び名が存在していました。
奈良時代から平安時代にかけて、調理をするために使う刃物のことは漢字で「刀子」と書き「かたな」と呼んでいたのです。
包丁という呼び方が普及したのはいつ?
それでは「包丁(ほうちょう)」という呼び方が普及したのはいつ頃だったのでしょうか?
日本に「包丁(ほうちょう)」の呼び方が伝わったのは、鎌倉時代から室町時代にかけてだったとされています。
当時は日本でも「包丁」を「庖丁」と書き、料理人のことを「庖丁者(ほうちょうじゃ)」と呼んでいました。
そして、庖丁者(ほうちょうじゃ)が調理に使う刀のことを「庖丁刀(ほうちょうとう)」と呼んでいたのです。
その後、江戸時代の中期になった頃には、食材を調理するための刃物全般のことを「庖丁(ほうちょう)」と呼ぶようになったんですね。
やがて、近代になって「庖」という漢字が常用漢字ではなくなったことがきっかけで、「包丁」という漢字が使われるようになったのです。
このように、包丁の「包」については「料理を包む」ことには全く関係が無かったことがわかりましたよね。
以上が「包丁の語源・由来」についてでした。
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まとめ
包丁という言葉の語源・由来は、古代の中国語で「料理人」を意味する「庖丁(ほうてい)」にある。
元々は料理人という意味だったが、魏の恵王の前で庖丁(ほうてい)が牛一頭を素早く解体したことから、その時に使われた料理刀を「庖丁(ほうてい)」と呼ぶようになった。
日本でも奈良時代から平安時代にかけては、料理に使われる刃物のことを「刀子」と書いて「かたな」と呼んでいた。
中国から「庖丁(ほうてい)」が伝わると、日本でも料理人の意味で使われるようになったが、やがて道具を意味する言葉として変化していった。
近代では「庖」という漢字が常用漢字ではなくなったことから「包丁」と書かれるようになった。