ビフテキはビーフステーキの略語ではない!それではどういう意味?

今回は「ビフテキという言葉の意味」ということで、食べ物にまつわる雑学を紹介します。
今や死語になりつつある「ビフテキ」という言葉ですが、よくある間違いとして「ビーフステーキの略語」だと思われています。

その間違いから「トンテキ」という言葉まで登場してしまったため、ほとんどの人がビフテキをビーフステーキだと思っているんですね。
ビーフステーキではないのであれば、「ビフテキ」とは一体どういう意味の言葉になるのでしょうか?

ビフテキはビーフステーキの略語ではない!

ビフテキ意味ビーフステーキじゃない
冒頭でも解説したように「ビフテキ」はビーフステーキの略語ではありません。
更に言えば「ビフテキ」は何かの言葉を省略したものでもなく、「ビフテキ」だけで一つの言葉なのです。

語源はフランス語の「bifteck(ビフテック)」からきており、ビフテックが訛ってビフテキに変化したものだと考えられています。
そして、フランス語のビフテックは「ステーキ」を意味する言葉となっています。

そのため、ビフテキは「ビーフステーキ」など特定の種類のステーキを意味する言葉ではなく、ステーキ全般を意味する言葉なんですね。
更に言えば、実はほとんどの人が「ステーキ」という言葉の意味についても勘違いをしています。

ステーキも肉料理のことではない

ステーキといえば厚く切った肉を豪快に焼き上げた料理を想像しますよね?
また、ビフテキという言葉のイメージもあるように、日本では「ステーキ=牛肉」をイメージする方がとても多いようです。

しかし、ステーキとはそもそも肉料理のことではありません。
ステーキについて辞書で調べてみると、以下の内容が掲載されています。

・厚めに切った肉や魚、ハムなどの食材を網や鉄板で焼き上げること、または料理

このように、肉料理というよりは、厚く切った食材を焼き上げる調理方法を意味する言葉が「ステーキ」なんですね。
そのため、バーベキューなどで厚く切った海鮮類を焼き上げたりすることは、広い意味で「ステーキ」の一種と言えるでしょう。

日本のビフテキの歴史

ビフテキ意味ビーフステーキじゃない
続いて日本の「ビフテキ」の歴史について解説していきます。
日本では江戸時代までに牛を食べる文化があまり浸透しておらず、牛といえば労働力として使われることが一般的でした。

日本に牛肉食の文化が広まったのは明治維新以降で、西洋の文化が日本に入ってきたことによって牛肉が食べられるようになりました。
そして、この頃には既に「ビフテキ」が伝わって、一部の日本人に食べられていたそうです。

夏目漱石の小説にもビフテキが「ビステキ」という名称で登場しています。
また、当時の牛肉のステーキも高級品だったそうで、今も昔も変わらずに牛肉のステーキは特別な時に食べられるものとなっているんですね。

勘違いによって生まれたトンテキ

ビフテキ意味ビーフステーキじゃない
ポークステーキのことを「トンテキ」と呼びますが、これは完全に勘違いから誕生した言葉です。
明治時代から既に牛肉のステーキのことを「ビフテキ」と呼んでいたことから、完全に「ビフテキ=ビーフステーキ」で定着していたんですね。

また、西洋から伝わった「カツレツ」の中でも、豚のカツレツは「トンカツ」と呼ばれていました。
そのため、ポークステーキについても「トンテキ」と呼ばれるようになったのです。

「トンテキ」の元祖は三重県四日市市にある中華料理店の「來來憲(らいらいけん)」だとされています。
戦後から「トンテキ」の提供が始まり、2019年現在でもトンテキが看板メニューとなっています。

現在のステーキの呼び方

現代ではそもそも「ビフテキ」という言葉は死語になりつつあります。
例えば、鶏肉のステーキはチキンステーキと呼びますし、豚肉のステーキはポークステーキと呼ばれるのが一般的ですよね。

そして、現在でも根強くステーキ=牛肉というイメージがあることから、ステーキといえばビーフステーキを意味するのが主流となっています。
牛肉以外のステーキ料理については、ほとんどの場合「〇〇ステーキ」と食材名が添えられています。

以上が「ビフテキという言葉の意味」についてでした。


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まとめ

「ビフテキ」は「ビーフステーキ」の略語と考えられているが、フランス語の「bifteck(ビフテック)」が語源となった言葉である。
そのため、ビフテキはビーフステーキを意味するものではなく、ステーキ料理全般を意味する言葉である。
また「ステーキ」という言葉も「厚めに切った肉や魚、ハムなどの食材を網や鉄板で焼き上げること、または料理」という意味であり、肉料理のことではない。
トンテキはビフテキがビーフステーキの略語だと勘違いされていたことから誕生した言葉である。